「多価イオン」って何??

すべての物質は原子から構成されています。原子は中心に正の電荷を帯びた原子核が存在し、その周りを負の電荷を帯びた電子が周回しています。 通常は正の電荷と負の電荷が等しく全体としては中性ですが、電子を取り去り(これを「電離」と言います)、正の電荷が多くなったものを(正の)イオンと呼びます。 電子を多数取り去り、正の電荷が多いイオンは「多価イオン」と呼ばれます。 例えば、原子番号79のAu(金)は電子を79個持っていますが、そこから電子を2個取り去ったものを金の2価イオンと呼び、Au2+と表記します。 これも多価イオンの仲間です。 さらにさらに電子を取り去り、残りの電子が1個になったイオン (Au78+)は、電子の配置が水素と同じであるため水素様金イオンと呼ぶこともあります。 最後の1個も取り去ってしまったもの(Au79+)は裸イオンと呼ばれます。 多価イオンに残された電子は原子核による非常に強い電磁場と相互作用するため、中性原子や低価数のイオンでは見られない様々な効果が顕著に現れます。 例えば、重元素高電離多価イオンでは、相対論効果や量子電磁気学効果と呼ばれる効果が大変大きくなり、原子物理学の興味深い研究対象となっています。 もうひとつの大きな特徴は、電子を取り戻そうとする力がとてもつよく、いわば「電子に対するブラックホール」のように振る舞うことです。 そのことにより、物質との相互作用において、他の粒子にはない豊かな反応性を持ちます。 多価イオンは地球上ではあまり存在しませんが、宇宙には多く存在します。 例えば、太陽コロナの中では鉄の多価イオンが飛び回っています。 地球上で多価イオンを作ることは容易ではありませんが、中村(信)研では世界有数の多価イオン源を使って、ここでしか出来ない多価イオン原子物理の実験を行っています。

解説記事など

「中村(信)研究室」紹介(OPAL-RING No.9)

■多価イオン原子過程の基礎と拡がる応用研究(プラズマ・核融合学会誌小特集)
 1.はじめに(中村信行)
 2.多価イオン原子過程の基礎
  2.1.電子−多価イオン(渡辺裕文, 加藤太治)
  2.2.多価イオン−原子・分子・固体表面(本橋健次)
 3.多価イオン生成の方法(坂上裕之, 中村信行)
 4.多価イオンの応用
  4.1.高温プラズマ中の多価イオンとそのプラズマ診断への応用(佐藤国憲)
  4.2.多価イオンを用いたプラズマ光源(田沼肇, 佐々木明)
  4.3.ナノテクノロジーへの応用(櫻井誠)
  4.4.高品質多価イオンビームの発生(池田時浩, 大島永康)

研究室紹介スライド

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